農場長日記
農場長日記
【サラリーマン式ミニトマトの育て方】ハウスの環境制御

私は小学校のころに社会科見学の一環で、
いちご農家のビニールハウスに伺ったことがありましたが、
とても自動化されたハウスには見えませんでした.
小学生だったあの頃から20年近く経ち、
私が任されたビニールハウスはとてもハイテクなものでした.
実際に現在導入している・利用している設備は以下の通りです.
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【1.遮光カーテンの管理】
ビニールハウスの「ビニール」自体が特殊なものでもあります.
太陽からの光を散乱させるように農場に落とし込んでくれるため、
影ができにくい性質があります.
なぜ影を嫌うのか?
それはビニールハウスの構造部分にあたる鉄骨、
つまり柱や梁による影を作らないためです.
それほどまでに光が遮られることを防ぎたい思いから特殊なものにしました.
しかし遮光カーテンが必要な時もあります.
強い光が当たるときはやはり温度上昇も大きい傾向にあります.
温度は大概、28度くらいが良いとされています.
また光飽和点は70,000Lxと言われております.
それに農場の高さ半分ほどにある遮光カーテンは、
閉めることで天井を低くさせる状態にでき、
暖房効率をあげることも望まれます.
また夜間のうちに充満しているCO2が
天窓から逃げてしまうのを防ぐ役割にも使えるのかもしれません.
カーテン一つで様々な要素に影響を与えます.
自動制御をするにしても
温度を見るのか、光でみるのか、時間で区切るのか、
なかなかに難しそうです.
暖房についてもCO2についても
まだ必要に迫られる時期には至っておりませんが、
農場長の腕の見せ所になるでしょう!笑
【2.側窓・天窓の管理】
窓の開け閉めも様々な要因と絡んできます.
ひとつは温度管理でしょう.
温度の高い空気ほど天窓付近に溜まり、
温度の低い空気ほどハウスの下にあります.
また外気の風向きによって多少湿度管理もできます.
植物の光合成を考えるときに場合によっては
「飽差」というものを考える必要があります.
飽差管理はつまり湿度の管理にあたり、
窓の開け閉めにも注意が必要です.
側窓と天窓それぞれ異なる時間設定・温度設定で
開け閉めを現在は行っております.
【3.循環扇の管理】
光合成を考えるときに、
風速1m/s程度の風があるといいとされています.
循環線はそれよりも圧倒的に上回ってしまうのですが、
完全な無風状態もよくないので適度な循環扇使用をします.
またどうしても農場内の東西南北、
窓からの距離によって
苗の置かれる環境はまるで異なります.
つまり「湿気・温度溜まり」を解消すること
これが主な目的になります.
湿気溜まりは細菌・ウィルスの温床となる可能性が増します.
適度な空気循環が必要なのです.
【4.暖房機の管理】
鹿沼市は冬になると容易に氷点下まで下がります.
ミニトマトは10度を下回ると生長しないといわれます.
栄養成長と生殖成長のどちらを重視するのかで、
培地温度と比較してハウスの温度をどのように設定するのか、
もう一度考え直す必要がありそうです.
何をいっているかわかりませんかね…笑
茎を伸ばしたいのであれば培地温度よりもハウスの温度を高く.
根を伸ばしたいのであればハウスの温度よりも培地温度を高く.
そういう考え方です.
【5.その他】
その他にも手動で開け閉めをする窓もありますし、
ハウスの環境ではありませんが灌水を自動化することもできます.
また虫の飛来およびそれに伴う菌の侵入を防ぐために前室を設けています.
ハウスの高さも比較的高くしており、
太陽の影響を直接的に受けづらい構造になっています.
良い方向にも悪い方向にも向かい得る外的要因が無数にあります.
ひとくちに環境制御ハウスといっても、
その結果どのようなハウス環境になるかは
星の数ほどの可能性がありそうです…!!